ぼくらの妄想昆虫採集記[文化昆虫学フィールドレポート](14)バウムクーヘンのパッケージにすむハエモドキミツバチ
ひとは
むしのちからをかりて
いきている
妄想昆虫採集とは - 昆虫(ムシ)たちをモチーフに,ひとびとの創造あるいは妄想によって生み出された生き物たち,すなわち「妄想昆虫(※)」を採集・目撃観察するという試みです.「妄想昆虫」は,ひとびとの心(観念)という「選択圧」によって独自の「進化(妄想進化)」をとげ,衣類の上や商品のパッケージなど,実にさまざまな場所に「適応放散」しています.さあ,一緒に「妄想昆虫」をさがしてみましょう.地道な「妄想昆虫」の採集・観察活動は,文化昆虫学の研究をすすめていく上で,新たなインスピレーションをあたえてくれることでしょう.
※ 「妄想昆虫」「妄想進化」は,当ブログ用にわたしが作った造語です.ご注意下さい.
2月某日.
近所にあるコンビニ・ファミリーマートにて気になる商品をみつけました.その名も,「はちみつレモンバウム」.いわゆる,バウムクーヘンです.
で,はちみつ関連商品にお約束の昆虫といえば,やはりミツバチですね.この商品のパッケージにもやはりお約束でミツバチがいます.
では,このバウムクーヘンのパッケージにすむミツバチをもう少しじっくりと観察してみましょう.
ここで,お気づきになられた方も多いかと思います.
実は,このパッケージにすんでいる「ミツバチ」らしき昆虫の翅をみると・・・.本来のハチならば,4枚(2対)あるはずの翅が2枚(1対)しかありません.ということは・・・ミツバチに擬態したハエかアブということでしょうか?いや,生息環境が蜂蜜入りバウムクーヘンのパッケージであることを考えると,ミツバチの仲間なのだと思います.しかしながら,妄想進化の結果このミツバチの後翅は退化し,やがて2枚の前翅のみが残ったのでしょう.これは,一般の人がハエやハチを判断する際には,翅の枚数を気にしていないということなのかもしれませんね.
命名「ハエモドキミツバチ:Apis dipteroides Tsumaki」
妄想昆虫の採集・観察記録を蓄積することは,「どのような種類の昆虫が,どのような文化メディアで用いられているのか?」という文化昆虫学における根本的な問題を解明するために,大変重要なことだと思われます.あなたも,わたしたちと一緒に,「妄想昆虫」を採集しませんか?
求!情報!
(研究員 / 普及員:ツマキ・マツキチ)
※妄想昆虫採集に関する詳細は,以下をご確認ください.
[妄想昆虫について]
ぼくらの妄想昆虫採集記 [文化昆虫学フィールド・レポート] (1)
[妄想進化について]