ぼくらの妄想昆虫採集記 [文化昆虫学フィールド・レポート] (1) - 妄想昆虫採集とは?(前編)

ひとの

 こころのなかにすむこんちゅうを

   いっぱい,つかまえよう!


 妄想昆虫採集とは ー 妄想の世界で昆虫を採集するわけではありません(笑).昆虫(ムシ)たちをモチーフに,ひとびとの創造(あるいは妄想)によって生み出された生き物たち,すなわち「妄想昆虫(※)」を採集・目撃観察するという試みです.つまり,「妄想」昆虫採集ではなく,「妄想昆虫」採集なのです.

 妄想昆虫たちは,ひとびとの心(観念)という「選択圧」によって独自の「進化」をとげ,衣類の上や商品のパッケージなど,実にさまざまな場所に「適応放散」しています.地道な「妄想昆虫」の採集・観察活動は,文化昆虫学の研究をすすめていく上で,新たなインスピレーションをあたえてくれることでしょう.


※ 「妄想昆虫」「妄想進化」は,当ブログ用にわたしが作った造語です.ご注意下さい.


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 この「妄想昆虫」を採集するというアイデアにいたったのは,つい最近のことです.わたしは,文化昆虫学に興味があるのといっても,工芸品や美術品などのモチーフとしての昆虫には手を出さずにいようと考えていました.というのも,わたしは絵や紋章がもつ意味を解釈するような知恵や技術がなく,またそのような訓練をうけたわけではないからです.


 しかしながら・・・,文化昆虫学をはじめてからというもの,気になっていたことがありました.それは,わたしの部屋においてある段ボールに描かれたテントウムシをモチーフにしたシンボルのことでした(これについては後日).文化昆虫学の文献を読み進めていくうちに,どんどんとその段ボール上に「棲みついている」テントウムシを強く意識するようになりました.そして,こう考えることにしたのです ー 「わたしは,それらの意味づけなど難しいことは気にせずに「妄想昆虫」たちに目をむけて,わたしなりの視点で観察すればよいのだろう」と.やがて,積極的に妄想昆虫を探すようになりました.


 妄想昆虫はまちの至る所にいます.家のなかだって立派なフィールドです(採集許可がいらないので,気軽に「虫捕り」ができます).今では買い物などどこかへ出かけるのが,いっそう楽しくなりました.妄想昆虫に出会えるかも知れないからです.もう,出かけるときにはカメラ(と小銭)は手放せません.


 というわけで,「ぼくらの妄想昆虫採集」シリーズをスタートさせます.具体的な採集記録の記事については,ただいま準備中です.ちなみに,タイトルを「ぼくらの」としていますが,宗田理「ぼくらの」シリーズ(ライトノベル)や,アニメ作品の「ぼくらの」とは無関係です.ご了承ください.ただし後者につきましては,昆虫をモチーフにしたロボットのようなものが出ていたように思いますので,注目はしています.


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 妄想昆虫の採集・観察記録を蓄積することは,「どのような種類の昆虫が,どのような文化メディアで用いられているのか?」という文化昆虫学における根本的な問題を解明するために,大変重要なことだと思われます.あなたも,わたしたちと一緒に,「妄想昆虫」を採集しませんか?

 求!情報!



(研究員 / 普及員:ツマキ・マツキチ)



ぼくらの妄想昆虫採集記 [文化昆虫学フィールド・レポート] (2)に続く