旅する親子の行く先には蝶が舞い花が咲く
いよいよ春が到来しました.
昆虫愛好家や昆虫学者の方々は,このときを待ちわびていたことでしょう.
わたしは,事実上季節とは縁があるようでない文化昆虫学の研究活動にいそがしく,ほどんどフィールドにいけずにいます(さすがに,初蝶は拝みに行きましたが).
さて,本日は春を感じさせる1枚のポスターを紹介します.
南海電鉄なんば駅にはってあった「スルッとKANSAI」のポスターです(4月15日撮影).
スルッとKANSAI(スルッとかんさい)とは、近畿圏の公共交通機関のストアードフェアシステム及び周遊券のネットワークのことで,チケットを購入すると関西一円の色々な交通機関が利用できます.
さて,そんなチケットを購入して旅をする3人の親子がいます.
そんな旅をする親子の行く先には・・・
蝶が舞い,花が咲いていることでしょう.
モンシロチョウやモンキチョウ(モドキ)が,彼らを歓迎してくれることでしょう.
親子には,しっかりと・・・
関西乗すタルジーを堪能してもらいたいものです.
やはり,チョウは昆虫愛好家にかぎらず,一般の日本人にとっても春の到来をつげるものなのでしょう.
(研究員/普及員:ツマキ マツキチ)
ぼくらの妄想昆虫採集記[文化昆虫学フィールドレポート](14)バウムクーヘンのパッケージにすむハエモドキミツバチ
ひとは
むしのちからをかりて
いきている
妄想昆虫採集とは - 昆虫(ムシ)たちをモチーフに,ひとびとの創造あるいは妄想によって生み出された生き物たち,すなわち「妄想昆虫(※)」を採集・目撃観察するという試みです.「妄想昆虫」は,ひとびとの心(観念)という「選択圧」によって独自の「進化(妄想進化)」をとげ,衣類の上や商品のパッケージなど,実にさまざまな場所に「適応放散」しています.さあ,一緒に「妄想昆虫」をさがしてみましょう.地道な「妄想昆虫」の採集・観察活動は,文化昆虫学の研究をすすめていく上で,新たなインスピレーションをあたえてくれることでしょう.
※ 「妄想昆虫」「妄想進化」は,当ブログ用にわたしが作った造語です.ご注意下さい.
2月某日.
近所にあるコンビニ・ファミリーマートにて気になる商品をみつけました.その名も,「はちみつレモンバウム」.いわゆる,バウムクーヘンです.
で,はちみつ関連商品にお約束の昆虫といえば,やはりミツバチですね.この商品のパッケージにもやはりお約束でミツバチがいます.
では,このバウムクーヘンのパッケージにすむミツバチをもう少しじっくりと観察してみましょう.
ここで,お気づきになられた方も多いかと思います.
実は,このパッケージにすんでいる「ミツバチ」らしき昆虫の翅をみると・・・.本来のハチならば,4枚(2対)あるはずの翅が2枚(1対)しかありません.ということは・・・ミツバチに擬態したハエかアブということでしょうか?いや,生息環境が蜂蜜入りバウムクーヘンのパッケージであることを考えると,ミツバチの仲間なのだと思います.しかしながら,妄想進化の結果このミツバチの後翅は退化し,やがて2枚の前翅のみが残ったのでしょう.これは,一般の人がハエやハチを判断する際には,翅の枚数を気にしていないということなのかもしれませんね.
命名「ハエモドキミツバチ:Apis dipteroides Tsumaki」
妄想昆虫の採集・観察記録を蓄積することは,「どのような種類の昆虫が,どのような文化メディアで用いられているのか?」という文化昆虫学における根本的な問題を解明するために,大変重要なことだと思われます.あなたも,わたしたちと一緒に,「妄想昆虫」を採集しませんか?
求!情報!
(研究員 / 普及員:ツマキ・マツキチ)
※妄想昆虫採集に関する詳細は,以下をご確認ください.
[妄想昆虫について]
ぼくらの妄想昆虫採集記 [文化昆虫学フィールド・レポート] (1)
[妄想進化について]
謹賀新年のご挨拶
新年,明けましておめでとうございます.
今年もまた,よろしくお願いいたします.
(日本文化昆虫学研究所所員一同)
愛と憎しみの狭間に - 小便器におけるテントウムシの分布記録
テントウムシといえば,文化昆虫学の分野において重要な甲虫であり,多くの人々からその存在を好意的にとらえられている.それゆえに,多くの日用品にデザインのモチーフとして使われている.
しかし,以下の事例は,テントウムシに対してどのような感情が向けられていると考えればよいのか・・・
写真は,大阪府某所のショッピング・モールにある男子トイレの小便器である.矢印の先をみてほしい.そこには,明らかにテントウムシがうつっている.そうこれは,テントウムシが男子用小便器において標的(ターゲット)として使われているものである.まさに,愛と憎しみの狭間に住むテントウムシであろうか・・・.
(主任研究員:イケダ・カメタロウ)